Zermatt Pollux 2023/7/27

アルパイン(雪山)

2023年7月27日

メンバー:T橋M子、N島R恵(記)

コースタイム:0745グレッシャーパラダイス→0925南西稜取りつき→1050岩稜帯終了→1110山頂→1230取りつきに戻る→1410グレッシャーパラダイス

私は、21日から23日にかけてドリュを登攀し、下山してまっすぐにT橋M子さんや夫がいるツェルマットに移動したものの、ドリュの疲労は大きく、ツェルマットで予定していたPolluxを登りに行けるかどうか迷っていた。

情報乏しく、コースタイムなどが甚だ不明であるし、足も重い。Polluxは高所であり、また寒く、酸素が薄いところに登るのも些か気が進まぬ。ブライトホルンあたりでお茶を濁して帰ろうか、と、日和りかけていたまさにその時、突然M子さんから、明日一緒にPolluxに行きましょう!という、やる気満々なラインが入ったのである。滞在時期的にも、もう一つ山に登るとしたら明日が最後の晴天だろう、という時であった。

あ、行く?行きます???じゃ、行くか!!ということで翌27日早朝、我々二人は、早速、グレッシャーパラダイス行きのロープウェイに乗り込んだ。


N島は、グレッシャーパラダイス駅(3850m)に降り立ったのは初めてであった。見渡す限り、広大な雪原が広がり、その周囲をぐるりと、マッターホルンはじめ名だたる名峰が取り巻いている。春の室堂の雪原が10倍くらいになった光景、といえばおわかりいただけるであろうか。

Polluxまでは、その、緩やかな起伏を繰り返す広大な雪原をひたすら歩いて二時間、なのだが、折からの疲労の蓄積と、馴れない氷河歩き(ところどころにクレバスが口を開けており、ザイルでの確保は必須である)にめげそうであった。

ようやくたどり着いた南西稜はそこそこ立派な岩稜である。数パーティ先行しているが、どれもガイド登山のようだ。私たちは取り付きにストックをデポし、慎重に岩場を這い上がった。

岩場の傾斜は当初緩いが次第に立ってきて、最後の二ピッチは、鎖があるのでまあ、なんとかなるが、もしこれがなければがっちりギアがいるであろう。

ここで先行のドイツ人パーティがもたもたしていたので、お断りして抜かせてもらい、N島が鎖に支点を取りながらリードし、M子さんにフォローしてもらう。この2ピッチを抜けるとマリア像があり、岩稜帯は終わる。あとは200mほど、緩やかな稜線歩きで、山頂に立った。

やったった。

嬉しかった。ほとんどのパーティがガイドパーティである中で、我々は我々だけで、それぞれのメイン山行の疲労を残した身体で、異国の4000m峰の頂に立ったのだ。慣れ親しんだわが国の山とは、規模も勝手も大いに違い、戸惑ったが、それでもヤマはヤマであった。

写真を取り合ってすぐ下山にかかる。鎖の箇所は一瞬、懸垂かと思ったが、幸いクライムダウンできた。取りつきに戻り、あとはゆっくりゆっくり、広大な雪原を歩いて、グレッシャーパラダイスの駅に辿り着いた。

断っておくが、Polluxの岩稜それ自体は、正直大したことはない。裏妙義をちょっと難しくした程度である。が、これが4000mに位置し、気温も零下で、かつ初見でトポもない、となると、これははなはだ緊張した。だがその分充実感もはんぱなかった。行けてよかった。ありがとうございました。

関連記事

特集記事

アーカイブ
TOP