穂高 屏風岩雲稜 2013/8/12

アルパイン(夏)

ルート:屏風岩雲稜ルート
メンバー:S原-N野、T塚-S藤

8/12(月)
起床3:00-出発4:00-5:10 1ルンゼ入口5:15-6:30T4尾根取り付き7:00-9:30T4 10:00-12:50扇岩13:30-14:00T4-15:30T4尾根取り付き16:00-18:00横尾

昨日GPSにマークした、川がほぼ伏流になっている下流のポイントで小川を渡り、暗い対岸を上流へ。定番は1ルンゼ前での渡渉だが、暗いうちの渡渉には自信がなく、時間はかかるが回避策をとった。
右岸にもトレースはあるが歩みは遅い。一度だけ倒木を避けて川辺に降り、沼地を避けつつ進む。

1ルンゼ入口で周囲が明るくなり、登るにつれて朝日に輝く屏風岩が姿を現す。
T4より上、雲稜3P目に登攀中の人の姿。T4ビバークか?
1ルンゼ上部は厚い雪渓、というか背の高いスノーブリッジ状態。火照った身体に雪渓を渡る風が快い。
T4尾根取り付きで装備を整える間に、後続Pが到着。

P1020049
<T4尾根>
1P目 30m IV S原
支点の乏しい、クラック沿いのフェース。軽登山靴を詰めた50Lザックが重い。

2P目 40m V- N野
カンテから凹角。

3P目 100m
土のルンゼ急登、靴を替え、ロープを畳んで登るが、下りは難儀しそう。

4P目 40m Ⅲ N野
凹角から右上してT4まで。

T4はテント2張り程のテラス、右奥には岩小舎。水さえあればビバークは可能だが、夜は寒そうだ。
日が高くなり、ぐんぐん気温が上がる。
予定より遅れているが、不要な装備をデポして登攀を続けることにする。

P1020054
<雲稜ルート>
1P目 50m V S原
一度上に出てから右手のカンテ左の凹角をまっすぐ登る。
40m上のハングをA0で越えてカンテ上に出ると支点があるが、その先にピナクルテラスが見えるので、さらにロープを伸ばす。テラスに着くと支点が悪い。テラス奥に支点を作ると、今度はロープが流れない。
日差しが強く、ロープの流れを処理して引き上げるうちに、気分が悪くなってきた
熱中症か低血糖か。水とサプリを摂るも改善しない。フォローのN野が到着して異状を指摘。
予定時間を超えており、2P目で撤退することにする。

2P目 40m V+ N野
支点上から右上のピナクルに向けてトラバース気味にフェースを進み、途中からボルト沿いに直上して扇岩テラスまで。
N野はスピードアップのため空身でリード。気を取り直してフォローするも、2人分の荷物が重い。
フェースはフットホールドに乏しく、A1交えて進む。

P1020059
扇岩テラスから見上げると、3P目のボルトラダーのボルトは大半がリングを失い、怪しげな紐がかかるのみ。
フリー(5.11+)用のPetzlが2点左にあるが、遠くて使えそうにない。紐を補強しながらの登攀は時間を食いそうだ。

後続のT塚-S藤Pを待って下降を決定。
10mほど右下の小テラスに懸垂で一度降り、そこから60mx2本懸垂1回でぴったりT4に降り立つ。A山トポが役に立った

T4尾根の3-4P目を細かく切って懸垂で下降。支点が多く、4名同時なのでけっこう速い。
2P目終了点を捨て縄で補強し、60mx2本懸垂1回でT4尾根取り付きに降りる。
近くにより多く使われている懸垂支点があるが、どう見ても枯れ木だ。使う気にはなれない。

登攀中に轟音が2回聞こえた。ひとつは1ルンゼの自然落石、もうひとつは分からなかったが、T4尾根取り付きに降りて、派手に崩れたスノーブリッジを見て納得。ビルの崩壊現場のようだ。万一上か下を通っていたら命はなかった

往路をそのまま戻るが、明るければそれなりに速い。18時にはBCに戻った。

P1020078
今回、2P目敗退の要因はいろいろあるが、ひと言で言えば欲張り過ぎの準備不足。
2ヶ月前に屏風挑戦を決めたが、日程の厳しい中、さらに直前には新人との登攀練習が加わり、結局N野と二人での練習は谷川烏帽子中央カンテのみ。
特に暑い中を、荷物を担いで長時間登攀する準備ができていなかった。

恐らくは来年、少し気候条件の良い時季に再挑戦することを心に誓う。
それまでは、フリー技術と体力の準備だ。おっと、渡渉訓練も必要かな。

⇒ 8/14 T塚-S藤 リベンジ記録はコチラ

ぶなの会

ぶなの会

労山(日本勤労者山岳連盟)加盟 ぶなの会の公式HPです。

関連記事

特集記事

アーカイブ
TOP