前穂高北尾根 2013/8/15

アルパイン(夏)

ルート:前穂高北尾根
メンバー:S原L、I田、Y本

3:00涸沢発~5:00Ⅴ、Ⅵのコル~5:45Ⅴ峰上~6:30Ⅳ峰上~7:30Ⅲ、Ⅳのコル
~9:30Ⅲ峰上~9:45Ⅱ峰上~10:10前穂高頂上~14:00涸沢(吊尾根~奥穂~ザイテン)

(新人 Y本記)
前穂高北尾根は一般登山者からは憧れルートの代表格で涸沢から見たシルエットは本当に美しい。
そんな憧れていたルートを入会1年目で登攀できる楽しみから、前日は涸沢小屋からのんびりと眺めていた。

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当日は混雑を予想していたので2:00に起床して早めの出発を心がけた。メンバー全員が初めてのルートでヘッデン行動だったので、前日にS原、I田Pが北穂から偵察した写真を照らし合わせて5,6のコルの取付きまで進んだ。雪渓は取付きからかなり上まで伸びていて、今年は残雪が多い印象を受けた。次第に傾斜がきつくなり雪渓が途切れたのでアイゼンを脱ぎ、うっすら踏み跡が残る斜面をコルに向けてひたすら登った。

5,6のコルに到着した頃には、辺りはだいぶ明るくなり、ここから見る奥穂高は均整の取れた山容でとても印象的でした。テンバにはPは居らず、先行Pも居なかったので自分達が一番乗りだ。小休憩後5峰に向けて登り始めて、すぐ日の出の時間となり朝焼けの中の気持ちの良い登りとなった。頂上まで難なく辿り着けたが、そこから見る4峰が嫌らしい。

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4峰を観察すると下部は直上するルートが確認できるが、上部は踏み跡が散らばっていて涸沢側、奥又白側、難しそうだが直上も出来そうに見えた。
4峰はまず奥又白側よりに直上して大岩まで行き、それから涸沢側へ回りこみながらピークに達したと思います。下部はザレた道が続き落石に注意し、上部は高度感がありロープ無しなので緊張します。頂上に着きルートを迷い巻き道など探したが、正解は行けなさそうに見えた頂上を直進すれば道があります。

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3峰は見るからにロープが必要な急な岩場。コルから少し上がった位置に1P目の支点がある。
振り返ってみるが後続Pは見当たらない。まさに貸切。
S原さんは軽登山靴で登攀、新人2名はクライミングシューズに履き替えての登攀。

・1P目 20m位(S原リード)
支点からまず左に行き直上してチムニー下部へ。手がかり足場も豊富にあり楽しい登り。

・2P目 20m位(S原リード)
チムニー上部へ抜ける。途中悪い箇所があったが、プッシュで体を持ち上げて切り抜ける。

・3P目 30m (I田リード)
まずカンテ沿いに進み、フェイスを2段越えたら傾斜は無くなり歩くように終了点まで進む。
フォローの登攀が早すぎてI田さんのロープ引き上げ遅れ気味になる。

4P目は頂上へ抜けるルートだが、下部から見た感じだと傾斜も緩く難しくなさそうなのでロープをしまってフリー登攀。
上部に少しハングした悪い箇所が出てきたがしっかりしたガバを探して登れば問題なかった。

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3峰上まで行けば2峰は目と鼻の先だ。そして頂上もすぐそこにある。今日の前穂頂上は賑わっていて人が沢山見える。(1,2のコルへの)懸垂支点に付いたが足場は狭い為、Y本は手前で待機しS原さんが下降。I田さんの下降準備中にギャラリーが見学。緊張した様子で手袋するのを忘れてセルフを取り直して下降。下を見るとクライムダウン出来そうな高さで足場も豊富にあった。

前穂頂上までは快適な登りが続き、難なく山頂台地に到着。ギャラリーに「スゴイ!」などと声をかけられ、誇らしく頂上看板まで歩いた。1年前まではまったく逆の立場で感慨深かった。記念撮影後はのんびり休憩タイム。気が緩んだのかI田さんはプラティパスの蓋を無くし登頂直後に自己嫌悪。Y本は座る時にバイルの先がケツにささり痛みが走るがパンツの穴とかすり傷ですんだ。

今回は晴天にも関わらず貸切状態でストレスフリー。これまでの練習した成果がでたのか難しく感じる箇所は少なく、とても楽しい登攀を満喫できた事に皆様感謝です。

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<S原 コメント>
今回は連休のさなか、良好なコンディションにも関わらず、前後に全くひと気のない、一種奇妙な雰囲気の中の登攀となった。右手には涸沢カールから遠くは槍ヶ岳まで、左手には水をたたえた奥又白池の景観を楽しみながら、快適な登攀を楽しむことができた。

難度はさほどではないが、高度感たっぷりのクライミングとこの景観は、アルパインデビューの二人には、最高のプレゼントになったと思う。I田には1Pだが初めて本番リードしてもらった。短い垂壁の登りもさることながら、二人を同時ビレイするロープさばきなど、勉強になった筈だ。

登攀が終わって多くの登山客が待ち受ける前穂山頂へ。装備を片付け、吊り尾根~奥穂~涸沢~横尾への長いデプローチにかかる。ザイテングラートで見渡すと、涸沢カールを一周する今日の長いルートが一望できる。よく歩いたものだ

11時間行動の末、涸沢まで下ったところで、屏風岩東壁ルンゼを登ってきたH本氏と合流、さらに滝谷から戻ったN野P、そして屏風岩から横尾に戻って個人装備を荷上げしてきたA山と合流し、それぞれの成功を祝してビールで乾杯。T塚Pも屏風岩雲稜の完登に成功したとのこと、よかった。

今回、合宿のCLを担当させてもらい、これまでほぼ計画通り無事に進んでいるだけでなく、メンバーに多くの成果が出ていることが嬉しい。ここまでもらった皆さんからのサポートと、この時期ありえないくらい続いた好天に感謝する。
たっぷり休憩してから、明日滝谷を目指すI田を涸沢に残して、横尾BCに向かった。

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