メンバー:S口、(会員外)K下L、F野
敬老の日の3連休、水無川真沢を遡行してきた。雪渓の高巻きなど大変だったものの、幣ノ滝や祓川大滝を登攀したりと充実した山行となった。
3連休の初日は芳しくない天気予報に従って入渓を見合わせ、越後湯沢にある飯士山・負欠スラブで遊び、残り2日間で真沢を遡行することにした。
■9/14(日) 入渓~逆くの字滝上
4時に起床し、越後三山森林公園の駐車場へ。近くで大きな堰堤の工事中。時折雨が降ったりという天気だが、回復するとの予報を信じて出発。
オツルミズ沢出合やモチガハナ沢出合を通過しながら荒れた林道を歩く。大きな堰堤から入渓。1か所簡単な巻きはあるものの、しばらくは河原の中を歩く。左岸から不動沢が出合い、本流が左に曲がるところがデトノアイソメ。この頃にはすっかり晴れた。
なおも河原を進み滝沢を分けると、暗峡(くらがりきょう)が現れる。腰ほどの深さから左側壁に取り付き、へつって一段上がると滝上へ。思っていたより易しい。
その後、御月山沢出合付近に大きく残る雪渓の大高巻きがこの日の核心となった。左岸から出合うオカメ沢を過ぎ、大きな岩が続く巨岩帯を歩いていくと、現れた滝の奥に大きな雪渓の末端が覗いている。御月山沢出合前後にかかる雪渓のようだ。これは左岸から大きく高巻くことになる。手前にある左岸のルンゼを念のためロープを出して登って行く。ヤブ漕ぎしながら進んで行くと、眼下に大きな雪渓が眺められる。現れたスラブを避けるようにブッシュに沿ってさらに巻き上げられる。現れた枝沢でロープを2本つないで1ピッチ懸垂下降。これが御月山沢か。
さらにヤブ漕ぎを続け、つぎのルンゼでは2ピッチの懸垂下降。相当上まで巻き上げられていたわけだ。2時間や3時間かかったとかといった記録があるが、我々はこの大高巻きに4時間要した。K下さんによると、他の記録時よりも今回は雪渓が大きいようで、加えてスラブを避けて巻き上がったことから余計に時間がかかったようだ。
ようやく沢床に復帰し小滝などを越えて行くと10m滝が現れ、右岸から巻く。巻きの最中、上流側にある連続する滝が見える。関門ノ滝か、あるいはその先の逆くの字滝だろう。
関門ノ滝の手前に懸垂下降で降り立つ。関門ノ滝50mは左壁から登れるので、ロープを出してS口がリード。逆くの字滝が現れるのでそれも登る。
巻きが多く、今日まともに登れた滝は、関門ノ滝と逆くの字滝の2つ。逆くの字滝のすぐ先にも巻かないといけない滝がある。時刻はすでに17時頃。18時には暗くなってしまうので、予定していた幣ノ滝下まで行くのは諦めて、本日の行動を打ち切る。
逆くの字滝の落ち口でビバークする。岩棚状になっていて、ところどころ窪んだところがあるので、3人ばらばら
にその窪みに身体を横たえれば何とか寝られそうだ。
暗くなるまで少し時間があったので、ビバーク地点から翌朝すぐに始まる右岸巻きのために、S口がフィックスロープを張りに行く。1ピッチ分ロープを伸ばして懸垂下降で戻ると、K下さん達がビバーク地の岩棚にハーケンでフィックスロープを渡しタープを張る。夜中に寝ぼけて足を滑らせたりしたら滝から落ちてしまいかねないので、今夜はロープにセルフビレイを取りながら寝ることになる。午後は曇ったときもあった空も今は星が見え、風もない。
■9/15(月) 幣ノ滝~白龍ノ滝~祓川大滝~中ノ岳~十字峡
4時に起床し、薄明るくなってきた5時過ぎには遡行開始。前日張っておいたフィックスロープを伝って高巻く。
沢床に復帰し進むと、北沢と分けると大きな滝がある。幣ノ滝150m。ロープを出さずに全体の半分くらいまで登り、水流の右側でロープを出す。
1P目はK下さんのリード。水流の右側の乾いたスラブの傾斜の緩いところを登る。
2P目はS口のリード。左上するように水流を横断する。水流の中はガバホールドが豊富で思っていたより登りやすい。水流から左側の乾いた壁に上がりブッシュでピッチを切る。
3P目はK下さんのリード。スラブとブッシュの間を登って行くとすぐに滝の落ち口へ。
進んだ先に細い滝が見える。白龍ノ滝は沢が右に曲がるところにあり近くまで行かないと見えないので、その左の枝沢にかかる滝だ。白龍ノ滝50mは、右側の岩壁を登れないこともないだろうと思ったけれど、登攀に時間を要するので、100mほど手前の草付きスラブから高巻く。懸垂下降で白龍ノ滝の落ち口の上に降り立つ。白龍ノ滝のすぐ上部は傾斜の緩い滝が続いている。
真沢本流と分れてすぐに祓川大滝250mが現れる。祓川大滝では落ち口手前で1ピッチロープを出しただけであとはずっとノーロープで登った。途中登っている際に「落ち口近くに熊がいる」とK下さんが言う。これから登って行く先に熊がいるなんてイヤだなあと思いつつ、最後にロープを出してS口がリード。
祓川大滝のすぐ先に10mもない滝が2つ連続している。滝登りはこれでおしまいで、風景が一気に開けて草原状になり源頭の雰囲気になってくる。祓川大滝の落ち口で熊に遭わなかった代わりに、カモシカと遭遇。
すぐに二俣が現れるのだが、我々はここが三俣だと勘違い。この二俣は左の水量が多く、右はすぐに涸れる。水流のある左に進んで行けばやがて三俣が現れ、その三俣では右を選べばヤブ漕ぎ無しで、御月山と中ノ岳の鞍部で登山道に出られるはずだった。
その手前の二俣で右に進んだ我々は、枯れた沢筋から草原状を登って行く。途中で間違いに気づき、御月山の山頂下の南面を巻くようにヤブ漕ぎし、ようやく登山道に出る。中ノ岳が目の前に聳えている。
ハーネスを脱いで、中ノ岳へと向かう。まずは鞍部へと降りる。鞍部から中ノ岳山頂までの標高差は約350m。疲れた身体には堪える登りだ。
山頂手前の中ノ岳避難小屋に休憩のために寄ると、そこにいた登山者が「前夜はこの小屋に60人も泊まって、入り
きれず入口の土間に寝た人もいた」とのこと。うわ。誰もいない沢旅のほうが静かでいい。
山頂で記念写真を撮ってから十字峡に向けて15時半頃に下山開始。十字峡までの標高差は約1,500m。暗くなってヘッ電を点け、18時半前に十字峡登山センター前に下山。
(S口)
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