メンバー:A久L、M中

●1日目(雪のち晴れ)
9:00 田子倉ダム下発 - 10:40 旧田子倉駅 - 13:00 ワルイシ尾根920m 地点BC着 - 14:00 BC発 - 15:00 マンモス尾根末端 - 16:15 BC帰着

●2日目(曇り時々晴れ)
4:00 BC発 - 5:00 マンモス尾根末端 - 16:00 稜線 - 17:15 BC帰着

●3日目(晴れ)
6:00 BC発 - 9:30 田子倉ダム下帰着
 
 
鬼ヶ面山東面 マンモス尾根完登しました!
JR田子倉駅が閉鎖され、冬季閉ざされた岩壁。2014年4月に浅草岳から偵察。
2015年秋アプローチ偵察を経て、今季臨みました。

1500mにも満たない山でありながら、2泊3日というスケール。
これでもかというほど極細ナイフリッジの連続で全12ピッチ。
タフなルートでした。
 
 
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●1日目
小雪が舞う中田子倉ダム下から歩き出す。旧田子倉駅までは冬期閉鎖された六十里街道を6.9Kmの道のり。
豪雪地帯ゆえにこのアプローチのラッセルが最初の核心と構えていたが、なんと除雪されている!
今年の寡雪で既に六十里越街道の開通準備に入っているようで、旧田子倉駅までラッセル無しで歩く事が出来た。
拍子抜けではあるけど、これはウレシイ誤算。



登山大系ではマンモス台地がBC適地とあるが、我々はワルイシ尾根上にBCを置く事にする。
マンモス尾根取り付きまでは遠回りになるけど、登攀に時間が掛かった場合、暗くなったりガスッたらトレース無しでマンモス台地に帰着するのは困難だし、リスクを考えると、この位置が良さそうに思えた。
テントを張った後、余計な装備をデポしてマンモス尾根末端まで偵察を兼ねトレースを付けておく。

マンモス尾根

マンモス尾根下部



●2日目
4時出発、昨夜の降雪は5cmほど。真っ暗な中、かすかに残るトレースを追って取付きに到る。
暗い中登攀具を身につける。まだ止まない雪に、「けっこう降ってるね」とM中さん。「こんなもんでしょ」と平静を装いワルイシ沢のデブリ帯へ突入する。すこし遡り、前日のうちに目を付けておいたポイントからマンモス尾根側面の雪壁に取り付く。
尾根に乗った後はガスで視界がない中、ズタボロの雪を右往左往しながら前進する。
940m地点でヤブっぽい岩壁にぶち当たり、ここでロープを出す。その頃には明るくなってきて緊張も少し和らぐ。

・1ピッチ目(M中)
木登りからスタート。薄く雪の乗った斜面の下はスラブで、アックスを受け付ける箇所を探しながらの登攀。

・2ピッチ目(A久)
ヤブのうるさい岩を5m直上後、尾根の側面から雪壁登り。リッジに乗ったところでスタンディングアックスビレイ。M中さんを迎える。

ここで一旦ロープをしまう。ズタズタに崩れたプラトーの先に高度差200m程の雪壁が続く。
昨日の偵察では雪面が切れている部分も多くみられ、ここは気温が上がる前にスピーディに抜けたい。
2mくらいの大きな段差がいくつか出来ていて、スコップで雪を切り崩しながら乗っ越しを繰り返していく。
 

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8時半を過ぎた頃、ガスが晴れたとたんに気温が上がりだす。
あまり気分のいい雪の状態ではないので、頭上に見える岩峰を目指し急いでラッセルを進める。

・3ピッチ目(A久)
ヤブ岩峰基部を左にトラバース後、ブロックが落ちた壁を藪の薄いところを選んで直上。
ヤブから雪面に移るところが胸がつかえる段差になっていて悪い。
スノーバー2本叩き込んで不安定な雪を無理やり乗っ越す。
その後急な雪稜にロープを伸ばすとスノーピークとなる。丁度50mいっぱいでスタンディングアックスビレイ。
 


・4ピッチ目(M中)
ピークからは戸隠のアリの戸渡り以上に細くてアップダウンがある、エグイナイフリッジへと続く。
出だしは小コルに向けて若干の下降。あまりのエグさに馬乗りからスタート。
前方のヤブ岩壁基部まで伸ばしたいけど50mで届くか微妙なので途中の比較的安定したコルできる。
 

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・5ピッチ目(A久)
エグイナイフリッジ後半。鶏冠のように細いリッジにピッケルバイルのシャフトを根元まで差して慎重に進む。
高度感抜群で足元の雪が左右の谷底に吸い込まれていく。こんなの地形図では読み取れない。コルで岩壁到達し立木でビレイ。右に目をやると鬼の角、奥壁針峰群が迫る。

・6ピッチ目(M中)
正面の岩は登れない。ヤブ岩壁を右から回り込むが、木にぶら下がった不安定な状態でランナーを木にタイオフするのに消耗させられる。雪壁を抜けて次の岩壁基部まで。

・7ピッチ目(A久)
小規模なフェースからスタート。ヤブが邪魔してうるさい。
足ブラになりながらも気合で抜け雪壁を越えると、さっきの比でないくらいの超エグイナイフリッジ。
抜け口は今にも崩れそうな幅10cmの刃渡り。通過を試みるも足元はスカ雪。
スノーバーを使い果たしてアンカー無しで突っ込む勇気もなく、ここでピッチをきる事にする。
とはいえ、ここも立ち上がることが出来ない極細リッジ上。ピッケルバイルを雪稜にブッ刺し流動分散で支点構築。
脆弱な支点だけにフォローがロープに荷重を掛けない事を祈りながらビレイ。


7ピッチ目終了点は立ってられないナイフリッジ上 なんでスタンディングアックスビレイじゃなくて雪でアンカーを取る

7ピッチ目終了点は立ってられないナイフリッジ上
なんでスタンディングアックスビレイじゃなくて雪でアンカーを取る



・8ピッチ目(A久)
本当はM中さんの番だけど、極めて痩せたリッジ上では入れ替わりすら出来ず、A久が行く。
スノーバーを打ち込み、幅10cmのコルへ慎重に足を置く。
ひょえー、足幅もないナイフリッジに体を預けるなんてシビレるぜ!
1歩、2歩と体重を移し、じわじわと前進。前方の潅木を掴み安堵のため息。

続く雪壁を登るとまたもやヤブ岩壁。正面突破を試みるもヤブに跳ね返され、右手のルンゼ状にルートを求める。
ダブルアックスで抜け、雪壁を50mいっぱい伸ばし、潅木を掘り起こしてビレイ。
 

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・9ピッチ目(M中)
そろそろ平和な斜面が恋しくなってくるが、そんな期待とは裏腹に雪壁を登りつめるとまたもやナイフリッジ。
まだまだこのルートは我々を許してくれない。

・10ピッチ目(A久)
雪壁を登り、ナイフリッジを越え、雪稜を直上。50mいっぱいで小ピークに立つ。
前方にはまだ雪稜が続いていてウンザリ。

・11ピッチ目(M中)
一見簡単に見えるが落ちられない雪稜。これで最後のピッチと思ったが、遠近感がバカになってたようで50mでは届かず、途中の立ち木できる。

・12ピッチ目(A久)
簡単な雪稜。ロープしまって歩いて行きたいが、実は結構立っている。斜度を見る目までバカになってきた。
傾斜が落ちるところまで我慢してロープを伸ばし、今度こそTHE END。スタンディングアックスビレイでフォローを迎える。
 

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長い。。。長すぎる! マンモスの頭には到達したが、稜線までのあと少しが遠い。
ロープをたたんでヘロヘロになりながらラッセル。前方には稜線への進入を拒む城壁のように雪庇が連なっている。
もうロープもスコップも無しで終わらせたい。幸いにも雪庇が崩れた隙間を縫って鬼ヶ面山の稜線へ抜ける事が出来た。

丁度16時。 終わった終わった抜けましたー! 稜線の向こうはなだらかな斜面。緊張から一気に解放される。
ここまでろくに食ってなかったので、行動食を口に放り込み、暖かい白湯を腹に入れ、やっと一息ついた。
その後は眼下の田子倉湖、広がる南会津の山並みを正面に見ながら1時間強でBCへ帰着。長い一日だった。
 

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●3日目
BCを撤収し6:00に出発。この日は快晴で鬼ヶ面東面の大伽藍がくっきり望める。
田子倉湖から徐々に朝靄があがってきて、幻想的な雰囲気に包み込まれる。
昨日が登攀日で良かった。今日だったら早々に気温も上がり、グズグズ雪に苦しめられただろう。
山を眺めるには最高の天気だけど。
長く思い描いてきた目標を完登出来た喜びを噛みしめながら何度も振り返った。
 

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