L,S藤H明、S見K子、S口M恵、M中K哉、I嵐H彰(山岳同人Grappa)
◆S藤H明
冷(つべた)小屋から振り返って眺めると殆ど垂直で「よくもまぁーあんなとこ登ったもんだ!」って、みんなで感嘆してしまいました。
前回はビショビショの湿った雪が12時間も降り積もり、雪崩の危険も高く中止にしましたが、今回は乾燥した晴天に恵まれ、なんとかかんとか行けました・・が、不気味なドードーの表層雪崩も派手なドンガラ土石流もシッカリと出てくれて、実に恐ろしかったです。

しばらくは、北股本谷を息切らして登って、本流に入って間もなくアホな間違いに気が付く。
鎌尾根下部を跨いで枝沢に入って、5年前の雪崩事故の゛さもあらん゛凄惨なデブリ跡を見て尾根末端の三角岩峰に至る。

雪崩そうで不気味な狭いルンゼを(S見さん以外は)黙々と登って核心からザイルを出す。全部で5ピッチも出してしまうが、痩せ我慢したら、1ピッチでもよかったかもしれない。
しかし、ちょっとでも滑ったら確実に空を飛べます。マジ核心は雪の下の空洞が微ハングしていて、本当に落ちそうでした。鈍った体に鞭打ってヘトヘトになりながら、ピッタリと南峰のピークに飛び出して、恒例の握手。

やたらと疲れたので、サッサと降りて冷の冬季小屋に入って、楽しく宴会のつもりでしたが、過労でいまひとつ盛り上がらないままに(とはいえ、軽く盛り上がった。)いつしか、グースカと寝てしまいました。
テントでは、殆どみんな脱水症状の中、M中くんひとり「脱水症状には生のままの焼酎が一番!」とのことで、血管にアルコールをダイレクトに注入していました。

下山は、私が極端に苦手(事故が多くて恐ろしい。)の赤岩のトラバースで、出さなくてもよいザイルを出しまくって、下手に時間を喰いましたが、西股沢は尻セードでビュンビュン飛ばしました。下山して大町で食べたソースかつ丼がとても美味しかったです。

◆M中K哉
MLに募集が載り、一も二もなく参加させていただく。先月の天狗尾根、北壁に続いて今回、北俣本谷、ダイレクト尾根、赤岩尾根に行くことは短期間で鹿島槍を知る良い機会になるし、地形的関心も大いに満足させてくれることだろう。

さて当日は、新潟の造り酒屋への出張をこなしたS藤さんと大谷原で合流。酒造に出張ということでS藤さんは朝からやけにハイテンションであったが、どんな出張であったかはとくに明らかにされなかった。
登攀自体は、ロープを出してからが時間を食ってしまった。5人だし。でも、それがよいのです。 
足元がスッパリ切れ落ちた雪壁でバケツを掘って待機する。まるで空中に浮かんでいるみたいだ。快晴!宙に浮かんで鹿島槍味わい放題。プライスレスの幸せでした。

◆S口M恵
ダイレクト尾根ルートは傾斜が強い雪壁が続くルートだそうで、前回の奥三の沢の詰めのように硬い雪にふくろはぎが泣くのだろうなと恐怖していた。それに利尻の仙法志の練習で行くには雪壁より岩とのミックスの方がいいのではないかとも思っていた。でも雪は適度に柔らかく足に負担は無かったし、一日で鹿島の頂上にピタリと出られたのも気持ち良いことだった。2日間ともほとんど無風快晴だったこともありがたかった。

つい最近までホカロンを使うほど寒かったのに、今回は額から汗が流れるほどの暖かさである。周りの槍や穂高の山々はまだまだ白いが、足元ではふきのとうが顔を出し、鳥もうきうきと春の声で鳴いている。そろそろ私も体を夏仕様にしなければならないな。
冬山の重荷を担ぐために蓄えた脂肪をそぎ落とす。

◆S見K子
前回(2009.4.4)雨で敗退したダイレクト尾根、今回は天気が保障?されていた。「残業になろうがワンデ-で行く」というリーダーの強い意志の元、前夜ほとんど寝ておらず寝不足で足元がふらふらながらも6時に大谷原を出発する。

2週間前は雪があった林道がすっかり泥道に変わっていた。おかげで、西俣沢出合いに1時間ほどで着いた。北俣をどんどんつめて行ったら、鎌尾根が右手に来てしまった。ルート修正、枝尾根をトラバースして乗り越す。
自分には明確なダイレクト尾根の取り付きというのがわからなかったが「これが三角岩壁だとかなんとか?」と言っていた所が取り付きなのでしょうか。この先、直上は木登りなので左の雪面を登る。

ここからぐんぐんと高度が上がりだす。思っていた以上に雪がやわらかい。そのうちにルンゼ状になり、すぐ横をさらさらと上部で雪崩れた細かいチリ雪が流れている。周囲で、ドドー、ドカーンなど、不気味な雪崩の音が頻繁に出始めた。とにかくここから早く抜けたいと思った。ルンゼを抜けるといったん傾斜が緩み再び尾根に乗る。眼前にまた木登りの塊が。これも左から巻き気味に登る。ここで、先が見えないのでザイルを使用、はじめて、デッドマンを使ってみた。効いていたのかな~?見えていればなんてことのない雪の壁だった。

しばらく進み、ダケカンバの直下で再びザイルを出す。核心はこの先のブッシュの混じる雪壁だった。5mぐらいの短さだが、雪つきが悪いのと出口が被っていて、さらに出口の上の雪面の傾斜が強くいやらしい。いやー、フォローでよかった。今日の雪はズボズボともぐって体力を消耗する。その後ザイル2ピッチ分、急な雪壁を登るとさすがに傾斜が落ち、ダイレクトに南峰にでた。「今日は1時には南峰に出られるね。」などと冗談にも本気で思っていた場所は、出合いからふり返れば3分2の所で、その先の部分が核心だった。ここからの4時間半は長かった。

インターネットの記録では出合いから5時間程度で抜けているパーティーもいれば、10時間以上かかっているパーティーもいる。9時間半もかかってしまったが、5人で登ったこと、雪が意外に悪かったことを考えれば上出来だったのではないでしょうか。カチカチのアイスバーンも怖いですが、グズグズの腐った雪も足元ごともっていかれそうで怖かったです。今回は終日天気に恵まれ、事故もなく登攀が楽しめました。リーダーのH明さんをはじめメンバーの皆様には感謝です。