黒部源流スキー縦走 2012/4/12-16

山スキー

4/12(木)快晴

打保9:00→神岡新道取付10:20~35→水の平12:20~40→寺地山山頂先14:28→北ノ俣岳避難小屋15:15

朝7:00に平湯をバスで出発し、神岡郊外でタクシーに乗り換え打保集落まで行く。予想通り、昨日の大雨がうその様に晴れ上がり絶好の入山日和だ。

大汗をかきながら打保川沿いに歩いてから、神岡新道の谷をつめる。雪は安定しており、ずっと谷沿いに進んで水の平へ。
そこからは尾根通しに寺地山を目指す。山頂は登らず南斜面をトラバースする。

いったんコルまで下ってから北ノ俣岳への斜面を少し登り、少し早いが快適な避難小屋で泊る。

4/13(金)快晴のち曇、夜半から雪

北ノ俣岳避難小屋5:05→北ノ俣岳7:05~25→薬師沢左俣滑降→薬師沢三俣8:10~25→薬師沢吊橋9:45~10:18→スノーブリッジで横断10:22→雲の平2480m12:25~40→雲の平山荘13:35~55→祖父岳15:00~10→岩苔乗越15:30→ワリモ乗越16:15

北ノ俣岳の大斜面にクトーをグイグイ利かせながら快調に登る。主稜線に出る手前はカリカリ&ハイマツ混じりの急斜面なのでシートラする。
風のある山頂で展望を楽しみながら準備し、左俣へ滑り込む。最初はカリカリだったが、ウィンドパックされた新雪をつないでいくと快適に滑れた。
中間部以降はやや固めだが快適。あっという間に薬師沢本流との出合(三俣)に到着。

ここからは谷が割れ始めており、スノーブリッジをつないで左岸右岸と頻繁に移りながら谷沿いに降りていく。
途中適当なところからカベッケガ原に登り返し、夏道沿いに薬師沢の吊橋まで降りる(最後はやせ尾根となりシートラ)。

薬師沢小屋は雪で完全に埋まっており、吊橋上にもブロックが乗っている。
吊橋を渡った先は不安定な雪壁となっており単独ではリスクが高そう。下流での渡渉も考えたが、両岸とも3mの雪壁となっており大変そう。

100m程上流を見ると、うまい具合にスノーブリッジがかかっていたので、そこで無事横断に成功。
そこからは徐々に急になる樹林帯をシールを効かせて雲の平末端まで一気に登る。

予定では今日はここまでだが、時間も早いし明日は天気が悪そうなので進めるだけ先に進むことにする。
大展望を楽しみながらも、明日の悪天時に安全に停滞できる場所を考えながら雲ノ平を進む。

雲の平山荘でもまだ14時前。余裕で祖父岳を越えれる時間帯なのでさらに進む。
明日は南岸低気圧の通過により北東~北西風が吹くと予想すると、稜線上の水晶小屋付近よりもワリモ乗越付近がいいと判断。
昨年GWの記憶どおり、二重稜線が天然の風除けとなった窪地があったので、そこにテントを張った。

4/14(土)雪のち夜半に快晴

停滞

南岸低気圧が通過中で昨夜半より湿った降雪が続き(要除雪)、視界も悪い(30m以下)ので停滞する。
夕方から乾燥した雪となり、風も出てきたが、このテン場は二重稜線の間の窪地なので快適だ。
安心してラジオを聴きながら、一日中食っちゃ寝をして休養した。日付が変わる頃には快晴となる。天の川が綺麗!!

4/15(日)快晴のち晴

ワリモ乗越5:35→水晶小屋6:20~40→東沢谷滑降開始地点6:50~7:07→東沢谷滑降→東沢谷2215m7:45~8:36→五郎池そば9:30~40→真砂岳北の鞍部11:00~15→真砂岳11:20~25→真砂岳北の鞍部11:45→五郎沢滑降→五郎沢2050m12:20→湯俣岳13:55~14:10→竹村新道1700m15:10→湯俣16:10

最高の天気の下、シートラで水晶小屋まで登る。昨日の新雪は30㎝位で、旧雪層(融解凍結層)とのなじみは悪く無さそう。

展望を楽しみながら、今から滑る斜面を観察する。風の影響を受けていなさそうな場所まで歩きで下り(標高差20m位)、雪質を慎重に確認する。
20~30㎝の新雪層はまだスラブ化しておらず、融解凍結層との境にも顕著な弱層は認められない。よし!まあまあのコンディションだ!

出だしは足元で慎重に様子を見ながら滑り、途中からは快適な大斜面を楽しく滑る。
中間からはスキーヤーズライトにトラバースしてから東沢谷のボトムぞいにこれまた快適に滑る。

2300m位まで滑ってから見上げると、自分のシュプールが稜線からくっきりと残っている。
ロケーション、雪質、滑りの楽しさといい、今までで最高の1本だった!!

安全圏の2200m付近で大休止後、沢状地形を五郎カールに登り返す。カールの底からは、傾斜が出てくる辺りで念のためピットチェックすると、やや不安定な感じ。
一番傾斜のゆるそうな斜面で真砂岳の北の鞍部を目指すが、なるべくジグを切らずに直登するように心がける。

鞍部に出て一安心。空身で真砂岳頂上まで行き展望を楽しんだ後、鞍部まで戻ってから五郎沢に滑り込む。
お昼までの日射の影響でやや重だが、まずまず快適に滑る。湯俣岳への登り返し地点(2050m)でちょうど沢割れが始まる。

湯俣岳からの竹村新道は、大天井岳が下降の際のよい目標となった。1700mまでスキーで下りることができた。
そこからは最初夏道沿いに稜線をシートラで進むが、グサグサの雪で不安定極まりない。
1650m付近から東面の沢状地形を降りると、晴嵐荘の一段上の台地に出た。南側に進んで夏道に合流し、無事に晴嵐荘に到着。

当然営業はしていないので、山荘横の野天風呂そばにテントを張る。
色々なものが浮いているが、適温の天然温泉に大満足!本山行最後の夜を満喫した。

4/16(月)快晴

湯俣7:00→名無避難小屋8:25~40→高瀬ダム11:08→七倉12:15~20→葛温泉12:50

明るくなってから起きだし、朝食後にひとっ風呂浴びてから出発。
夏道沿いにシール歩行するだけだが、しばらくは落石危険地帯もあり気が抜けない。たまにツボ足で歩くとズボズボ潜り、スキーの威力を改めて実感する。
林道に出ると雪がつながってないのでスキーを担いで歩く。
ダムから先の道は、かつて通いなれた唐幕への通勤経路♪懐かしい思い出にひたりながら、葛温泉までのんびりと下山した。

入山中は誰とも会うことなく、すばらしい天気とコンディションの下で雄大な山を貸切で楽しめた。
最も自分の嗜好に合った計画(スキーを使った長距離縦走&そんなに緊張しない大斜面の滑走)を単独で完遂することができ、自分のベスト5に入る山行だった。

<参考>
・4/11(入山前日)および4/14(停滞日)に通過した低気圧により、標高の低い場所(1700m以下)は雨による融雪が進んだ模様。それより上部は、逆に雪が増えている。

・4/15、水晶岳東面で点発生表層雪崩の跡を多数確認。おそらく前日の降雪中に起きたものと思われた。五郎沢下部に入ってからは、新しい湿潤雪崩の跡を多数確認。

・神岡および大町のタクシーの運ちゃんの話では、今年は昨年より雪が少ないとのこと(里での話)。

・主要装備は、山スキー用具一式、アイゼン、ピッケル、テント、ラジオ、ガス缶大1(半分余った)、22mロープ(使用せず)、寝袋、食料6泊7日分。入山時のザックの重量は約18kg。

・携帯(docomo)でメールできた場所:北ノ俣岳、祖父岳、岩苔乗越先のピーク、水晶小屋、真砂岳

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