剱残雪期合宿 Bパーティ 早月尾根隊 2012/5/3-6

積雪期登山

メンバー:T城(L)、N村、H光、N野

・出発前夜;日に日に悪化する天気予報に翻弄される。
果たして無事剱のピークに立ち、剱沢に集結できるのだろうか?

・5/3(木) 曇りのち雨
【馬場島11:00-17:10 早月小屋/C1】(記:H光)
夜行バスで富山に到着。連休後半初日ということもあり、渋滞にハマって二時間遅れでの到着。駅前のミスドでミーティング。事前の予報では今日の天気が悪く、馬場島に一停してから入山かと思いきや、明日の方が悪そうなので、本日入山することにする。
上市まで電車、そこからタクシーで馬場島まで8,000 円。タクシーの運ちゃんによると、今年の雪は大分少ないそうだ。
入山口で計画書を提出する際に、以前から気になっていたヤマタンを見せてもらう。思っていたより小さい。入山者に渡す際は、毎回バッテリーを入れ替えているとのこと。
馬場島では青空の下、剱の峰々をバックに桜と新緑が広がり、ともて心地よい。『試練と憧れ』の石碑を横目に、早月尾根を登っていく。徐々に眼前に現れる北方稜線を望みながら、今後の計画にも胸を膨らませる。松木平では、右手に出てくる目印を辿っていると、二回ほど道路に下山させられそうになるので注意。
中間地点でガスが濃くなり雨も降りだすが、そこまで荒れずに6 時間程で早月小屋に到着。
睡眠不足のN村さんは、時々立ち止まりながら仮眠を取っていた模様。テントに入ると徐々に雨脚も強まる。夜はN野さんプロデュースの野菜たっぷり皿うどん。山で食べることはない斬新なメニュー。
たまにdocomo の電波が入ることがあるので、ヤマテンをチェックすると、やはり明日の天気は悪そう。
起床以後の判断基準を決めて、早々に就寝。

・5/4(金) 雨のち雪
【早月小屋C1/C2(停滞)】(記:T城)
天候好転の可能性を考え、3:00 起床、日の出とともに出動できる態勢を取る。が、明るくなっても外は霧で次第に雨。天気予報も雨予想のため停滞を決め込む。昨日頑張ったご褒美に、今日はゆっくり休養しよう。天気図をつけて明日の天気を予想したり、剱への想いを語ったり、夏の目標を語り合ったり。
山と仲間に囲まれた充実した時間。停滞の一日もあっという間に過ぎていく。トランプも楽しかったね、他のみんなにはナイショだけど。
さて明日は、剱を越えてA/D パーティの待つ剱沢へ向かおう。ヤマテンによれば天気が良いのは朝方のみ、午後は風雪の予想。早出してワンチャンスをモノにしよう。

・5/5(土) ガスのち時々晴間、夕方曇り(強風)
【C2 4:10-11:20 剱山頂11:40-14:00 平蔵のコル-16:30 剱山荘-17:00 剱沢BC/C3】(記:N野)
2時起床。前日たっぷり休養をとったおかげと、今日への期待で爽やかな目覚めをむかえる。朝から晴れていたらいいな、という期待はあっさり裏切られて、ややガスの出ている中、ギア類を装着して準備完了。天候が崩れる予報のため、当初の計画を変更して、下山は平蔵谷を下り、剱沢へ登り返す計画。急いでいかなきゃ。
4時10分出発。周りのテントはやっと活動を始めたころだったが、長い一日が待っている我々は一番に出発。視界すっきりとはいかないけれども、10時くらいには晴れるという予報を信じて歩き出す。
昨日、何組かが頂上までピストンしていたが、その後の雪と風でトレースはほとんど消えていた。GWだというのに、新しく積もった雪がモナカになっていた。次第に明るくなってはくるが、期待の太陽はまだ顔を見せてくれない。周りの景色はあまり見えないけれど、順調に高度を上げていく。たまにキリが晴れて、左右の尾根が見えてくる。T城さんが、あれが別山尾根で、あっちが…と説明してくれる。
2600m 付近のところの急な登りで初めてロープを出す。T城さんに張ってもらったFIXロープを皆が登っている時に、後ろからコンテで歩いてきたガイドパーティ出現。あっさりと抜かされ、ものすごいスピードで歩いていく。“ラッセルありがとうございます~、これからトレースつけて行きますね”と爽やかに去っていった。

シシ頭の手前くらいで、キリが晴れる。富山湾まで見える!すごい!かっこいい!とみんなで興奮
でも、ちょうど、切り立ったリッジを通過するところだったので、この高度感はいらないかも…。
我々がリッジとその手前の下降の2ピッチロープを出しているうちに、追い抜いていったガイドパーティが帰ってきた。頂上直下のカニのハサミのルンゼでは、スリップしたら数百m滑のおそれ有とのリーダー判断でロープを出す。その間に、更に数パーティーに追い抜かれる。
11:20 山頂 視界はほとんどないけれど、雪に埋もれた祠のあたりで記念写真。積雪の分だけ、高度が上がって、3000m超えてるかな?
強風のため他のパーティがさっさと立ち去る中、たっぷり山頂を味わったあと下山開始。
慎重に地図を確認しながら平蔵のコルに向けて歩き出す。急坂を下ったあたりで、一気に空が晴れてきた!ああ、これが山頂にいるときだったら…といいながらも撮影大会。一気に春山JOYの気分になっているところでA久Pからの定時交信が入った。長次郎谷は雪崩の危険有との判断で、別山尾根にエスケープしたとの情報。肝に銘じながら、道を進む。カニの縦バイ、ヨコバイでは鎖にセルフをとりながら慎重に。
平蔵のコルで、雪質チェックを実施。何層かあり、やわらかめの層もあるが、すぐに雪崩が起きそうな雪質ではないとのこと。でも、行程短縮と、天候が思いのほか良かったことから、別山尾根を下山することとする。
前剱からは、剱沢のテン場がよく見えて、遠くに緑のテントが2つだけ張ってあるのが見えた。あ~、あそこでみんなが待ってるんだ!と、気合を入れなおす。
全員でバックステップで降りるものの、全然スピードが上がらない。と、下を見ると、T城さんがあっという間にかなり下にいる。早いなぁと思っていたら、ヒヤリハットだったらしい…。無事に止まってくれてよかった。
一服剱の手前で定時交信。ここから徐々に風が強くなり、雪つぶての洗礼。小屋が見えて、下り始めたところで、更なる強風。ちょっと歩いて耐風姿勢。ちっとも進まない。
16:00 剱山荘着。A久さんが迎えに来てくれていた!
17:00 テン場に着くとみんなが、温かく迎えてくれる。遅く着く私達のために、強風の中整地をして、雪壁まで作ってくれていた。テントを張ったところで更にひと騒動。荷物を入れる直前のテントが、強風で空高く舞い上がってしまった。皆がテントを追いかけてくれるなか、当事者のBチームメンバーは呆然。上空は風が渦を巻いていたらしく、戻ってきたテントを、S原さんがタックル無事捕獲。破損のためフライのない、難民キャンプのような状態のテントで長い一日が終わった。

・5/6(日) 曇り(強風)
【C3 4:45 剱沢-剱御前-雷鳥沢-8:00 室堂下山】(記:N村)
2:30(?) 起床:フライのないテントで過ごしたBパーティのメンバーは寒さが身にしみる中での起床となった。早々に支度を行い他のパーティの様子を伺う。
4:30 出発:出発のころ雷が頭上に聞こえる。早々に剱沢を離れるが、風がかなり強い。時折耐風姿勢をとりながら剱御前小屋に到着ししばし休憩。
雷鳥沢では悩まされてきた風も収まり、滑落に気をつけながら慎重に下る。
7:30 雷鳥沢テント村:剱沢ではぶなで貸切であったが雷鳥沢では多くのテントを見ることができた。
8:00 室堂下山;全員無事にターミナルに到着。緊張からの開放。そしてあっという間の剱が幕を閉じた。厳しい環境にも耐え全員よく頑張った!感動だ!ありがとう!!

ぶなの会

ぶなの会

労山(日本勤労者山岳連盟)加盟 ぶなの会の公式HPです。

関連記事

特集記事

アーカイブ
TOP